Free落下模擬弾、米軍が回収断念 六ケ所の地権者「納得できぬ」
米軍三沢基地所属のF16戦闘機が昨年11月、六ケ所村の民有地に模擬弾を落下させた問題で、東北防衛局は25日、米軍による模擬弾の回収作業が打ち切られると明らかにした。模擬弾は地中に埋まっているとみられ、大部分がいまだに見つかっていないが、位置を特定できないことから、米軍側が回収困難と伝えた。今後は賠償などの話し合いに進む見込みだが、土地所有者からは「努力を尽くしたとは思えない」と反発の声が上がった。
同基地によると、落ちたのは中身がコンクリート製のGBU―12模擬弾(重さ約226キロ)。戦闘機7機による訓練を実施していた昨年11月6日、パイロットの人的ミスで落下させた。
米軍側はこれまでに回収に向けた掘削作業を2回実施したが、発見できたのは部品の一部にとどまっていた。今年11月に同局が有識者の意見を基に行った磁気探査でも、模擬弾の位置の特定には至らなかった。
同局は結果を踏まえて米軍側と協議。今後の回収作業に関し、米軍側からは技術、費用の観点から継続困難とし、探索の終了について地元の理解を求めたいとの意向が示された。
防衛省は模擬弾が人体や環境に影響を与えるものでないことなどから、これに同意。日米地位協定に基づいて民有地の原状回復など地権者への補償を速やかに実施する方針とした。
25日は、同局の熊谷昌司局長が村役場を訪れ、戸田衛村長に回収断念やその経緯を報告。非公開の会談後、戸田村長は取材に「見つからなかったのは非常に残念。東北防衛局には『地権者に誠意ある対応をしてほしい』と申し上げた」と語った。同局は青森県や三沢市、東北町、小川原湖漁協なども回り、関係者の理解を求めた。
一方、説明を受けた地権者で村議の相内宏一さん(82)は「掘削を2回しかしていない。1年以上も掛けたが模擬弾を見つける努力が足りていたとは思えない」と憤り。「納得できない。探索を続けてほしい」と訴えた。
反発の声があることに関し、三沢市内で取材に応じた同局の武田和仁企画部長は「まずは調査結果、方向性をあらためて丁寧にご説明をさせていただかなければいけない」と述べるにとどめた。