Free脇野沢―蟹田航路の存廃、検討開始/青森県

むつ湾フェリーの輸送実績の推移
むつ湾フェリーの輸送実績の推移

青森県は28日、第三セクター「むつ湾フェリー」が運航する脇野沢(むつ市)―蟹田(外ケ浜町)航路の存廃を含めた将来像の検討に着手した。同航路は新型コロナウイルスの影響で2020年度の利用者数が激減。さらに老朽化した船体が更新時期を迎えていることから、同日設置した検討会議で11月までに方向性を取りまとめた後、関係市町村との協議に入る方針だ。

 脇野沢―蟹田の航路は下北、津軽両半島の市町村から要望を受けて1980年に開設。運営主体の統合、分離を経て2006年6月から、むつ湾フェリーが運航している。

 同社は経費と収益が同程度で、故障など不測の事態が生じて赤字に陥るたびに県やむつ市、外ケ浜町が補塡(ほてん)。県の第三者委員会による経営評価では、7年連続で最低のD評価(緊急の改善が必要)と判定されている。

 同社のフェリー「かもしか」は就航から23年が経過し、新造などの更新費がかさむ見通し。近年、約3万人で推移していた利用客は20年度、コロナの影響で最少の5910人まで減少し、県費が追加投入された。

 検討会議は交通、行政、観光分野の12人で構成される。28日は青森市で初会合を開催。県によると、非公開の意見交換では「公金を投入しているので経済波及効果を把握してから議論すべき」「地元の利用者を増やす方策の検討を」などの声が上がったという。

 県企画政策部の東直樹部長は取材に「観光面、生活面でも利用されている航路で、県民の意見が何より大事。存続も廃止も含めてフラットな形で検討していきたい」と述べた。

 
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